ドナルドソントリット、プリーツバグエキスパート、Kyle Nannenga
どの業界でも、プロセスにおいて予定どおりの作業が実施できない期間があります。 工場の運用では、生産設備がオフラインだったり使用できなかったりする期間のことを ダウンタイムと呼んでおり、設備の面でも、生産時間の損失の面でも、非常にコストがかかります。
工場が、24時間、週7日、年365日、問題なく稼働するのは現実的には困難であり、 工場長はシステムのメンテナンス期間を計画する必要があります。
ダウンタイムには、計画的なものと計画外のものがあり、 それぞれに関連するコストが存在します。
ほとんどの工場運用において、特定の機器をオフラインにして予防メンテナンスを実施するため、週、月、四半期、または年ごとに設定された期間が設けられており、 生産ラインから機器が取り外され、定期的または計画的ダウンタイムと呼ばれています。 計画的ダウンタイムは、生産の計画外の中断を防止するのに不可欠です。 このように定期的な確認を事前に設定すると、メンテナンス点検の実施や機器の修理に必要な時間を確保して、機器を必要処理能力で稼働させることができます。
計画外ダウンタイムは、その名前が示すとおり予期せず発生するものであり、予測が困難で、 工場の運用に大きな混乱を引き起こします。 計画外ダウンタイムが発生すると、工場担当者の目的はただ1つ、 つまり、可及的速やかに稼働を復帰させることです。 工場がダウンしている間の損失は1時間あたり数千ドルから数十万ドルに上ります。
業界ごとの平均的な生産損失コストに関する調査を通して、企業は業務における計画外ダウンタイムと計画的ダウンタイムの両方を削減することの重要性を認識しつつあります。
現在、メンテナンスマネージャーのタスクは、生産設備の運用寿命と信頼性の向上、生産ダウンタイムの削減、生産環境の全体的な安全性と作業条件の改善です。 これらのニーズは、生産設備における高品質製品の重要性や、工場運用でのメンテナンスの重要性を示しています。
メンテナンスマネージャーは、集塵機の性能の向上と長寿命化に重点を置いています。
工場運用において、防塵は生産プロセスに欠かせません。 集塵機には、 フィルターレシーバー(通常、空気圧バルク材搬送や中央真空システムで使用)、粉塵捕集(バグダンプ、ビンベント、バルク包装、鉄道車両やトラックへの積載、ベルトコンベヤー)、プロセス換気(研削、フライス加工、粉砕、ドライヤー用途、ミキシングとブレンディング)のような用途があります。
工場運用で最も一般的な集塵機は、従来のバグハウス集塵機です。 これまでのバグハウス集塵機は、移送中の空気から粉塵を除去するために、バグフィルターまたはソックスを使用しています。 多くのバグハウスは、堆積した粉塵の除去やフィルターの通気特性の回復のため、フィルターを定期的に圧縮空気でパルスクリーニングし、フィルター寿命を延ばす設計になっています。
バグハウスは何十年もの間、業界の主力製品でした。 バグハウスが老朽化すると、稼働を維持するためにきめ細やかなケアまたは予防メンテナンス(PM)が必要となりますが、バグフィルターのサイズが大きくなるほど、バグフィルターに対してきめ細やかなケアが必要になります。 バグフィルターは通常、平均圧力損失が高くなりすぎた状態、またはバグに損傷を与える可能性のある予期せぬ事態(バグの摩耗、粉塵による目詰まり、温度の急上昇、誤用など)が発生した際に交換されます。
集塵機のフィルター交換は、極めて手間と時間のかかる作業であり、不快なプロセスです。 フィルターのサポートケージを取り外し、汚れたバグを取り出す作業には、かなりの時間がかかり、 フィルターバグの数と集塵機の設計によっては、フィルターバグの交換完了までに、24時間以上を要する場合もあります。 計画的ダウンタイムであったとしても、このプロセスでは、シャットダウン計画時に割り当てられたリソースを大幅に超える可能性があります。
異常事態(バグの破損または摩耗、使用初期のバグの目詰まり、高温伝播によるバグの損傷など)が発生すると、計画外ダウンタイムは、時間的制約があり、重大かつ高コストのものとなります。 交換用バグの在庫がない場合、メンテナンスマネージャーは急いで交換用バグを入手するために追加コストを支払うこともあり、その額は数千ドルに達する可能性があります。 バグが工場に到着しても、完全に交換するには12~24時間以上かかることもあります。 交換用バグの予期せぬコスト、バグを急いで入手するための急送コストに加え、考慮すべき重要なコストがもう1つあります。1時間あたりの生産損失のコストです。 施設や産業によっては、このような異常状態による工場の生産損失が25万ドルを大幅に超える可能性もあります。
計画的ダウンタイムと計画外ダウンタイムの両方を最小限に抑制するための課題として、フィルター交換の実施に必要なリソース時間を削減すると同時に、フィルターの耐用年数を延ばすことなどが挙げられます。 長寿命と迅速な交換を両立させることで、ダウンタイムのコストを削減できます。 この事実に基づき、近年では、従来のバグフィルターの購入から、バグハウス運用向けのプリーツバグフィルターの購入へと切り替わりつつあります。
プリーツバグフィルターは、従来のバグフィルターの機能的利点とカートリッジフィルター技術の利点を組み合わせたものです。 プリーツバグメディアには、スパンボンドポリエステル、ePTFEメンブレン、スパンボンドのナノファイバーがあります。 これらの各メディアはプリーツバグフィルターの効率を最適化します。 プリーツバグメディアはより効率的で、従来のバグフィルターよりも大幅に短いフィルターパッケージ内に、より多くのフィルターメディアが格納されています。 その結果、従来のバグフィルターの平均2~3倍のフィルター寿命を実現します。
従来のバグフィルターとケージに直接置き換わるプリーツバグフィルターは、フィルター寿命の長い省メンテナンス製品です。 フィルター交換作業中にフィルターサポートケージを引き出してから、フィルターバグを取り出すという作業は不要になります。 プリーツバグフィルターは一体型設計のため、短時間で容易に取り付けと取り外しができます。 また、取り付けが容易なことで、交換作業がよりクリーンになり、メンテナンス作業員への粉塵のばく露も低減されます。
ケージを排除し、短いプリーツバグフィルターを活用することで、簡単に取り付けることができ、交換時間も大幅に短縮できます。 その結果、生産時間の損失が減少し、従来のバグフィルターとケージの交換にかかっていたメンテナンスコストと人件費が削減されます。
プリーツバグフィルターは短いため、落下スペースが大きくなり、原料がどんどん下に落ちていきます。重さのある研磨性の粒子はオープンスペースに落下し、軽い粉塵は効率的なメディアでフィルトレーションされます。 その結果、プリーツバグフィルターの摩耗が大幅に減少して寿命が長くなり、バグの摩耗に伴うダウンタイムが短縮されます。
また、プリーツバグフィルター使用時の圧力損失は、従来のバグフィルターと比較すると大幅に削減されます。 プリーツフィルターメディアはフィルター面積が大きく透過性が高いため、空気が流動しやすくなります。 単位時間あたりの所定の空気量(CFM)をより低い圧力損失で処理できるため、省エネにつながります。 さらに、省エネは運用コストの削減につながり、工場の運用コストにメリットをもたらします。
複数の事例では、プリーツバグフィルターで利用できる圧力損失が低いため、同じ量のエネルギーでより大きな空気量を移動させることができます。 ただし、このメリットを検討する際、集塵機の設計と気流パターンに特別な注意が必要となります。
最後に、ePTFEメンブレンやナノファイバーメディアなどのプリーツバグメディアの高効率性によって、従来のバグフィルターでは十分に対応できなかったサブミクロン粉塵粒子の捕集性能が向上します。 したがって、バグハウス集塵機のフィルトレーション性能の改善が必要なケースでは、プリーツバグフィルターが非常に効果的です。 プリーツバグメディアの優れた表面捕集と高効率性の組み合わせによって、フィルター寿命が長くなり、排出量も削減されます。
米国南西部の製造工場では、ドライヤー用途のバグハウス集塵機のダウンタイムに関して重要な問題を抱えていました。 この工場では、摩耗性のある用途のため、5週間ごとにフィルターバグを交換していました。 計画外ダウンタイムによる損失は1時間あたり平均で約2万ドルになっており、バグハウスに関連する12時間の交換作業は、イベント単位で25万ドルに迫る損失となっていました。
プリーツバグフィルターに変更することで、表面フィルトレーション面積が大きくなるだけでなく、より短いフィルター構成が実現されました。 また、プリーツバグフィルターを導入したことで、工場のバグフィルターの摩耗問題を事実上解決すると同時に、より低い圧力損失でバグハウスを稼働させることにも成功したのです。
フィルター交換の頻度は5週間から24か月ごとに改善され、交換作業を完了するまでの時間は12時間から4時間に短縮されました。 プリーツバグは長持ちするだけでなく、交換に伴うメンテナンス時間を大幅に短縮し、お客様の生産時間損失を最小限に抑えることができました。
ダウンタイムコストに関心が向くのは当然ですが、プリーツバグフィルターがもたらす付加価値も注目に値します。 より高い効率性、安定した低圧力損失、より長いフィルター寿命を達成することにより、計画的ダウンタイムと計画外ダウンタイムを削減しながら、工場の運用を大幅に改善できます。