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製薬プロセスでのフィルタリング領域

ドナルドソンのプロセスフィルトレーション担当、Richard Juskowiak

医薬品製造では、プロセスの複数のポイントにおいてフィルトレーションが必要となります。 液体、固体製品にかかわらず、プロセスで使用されるガス、圧縮空気、スチーム、液体中の不純物によって汚染される可能性は常にあります。 汚染物質には、水分、油、デブリ、バイオバーデンなどがあります。

時間とコストを削減するため、プロセスの早い段階で不純物を捕捉することが重要です。 汚染物質源を分離しやすくするために冗長性を持たせる。 一旦細菌成長が下流の表面に浮上してしまうと、発生源を追跡し、プロセスを再度実行する許可を得るのは困難となりコストもかかります。

これらの原則を念頭に置いた上で、フィルタリングする重要なエリアを次に示します。

ユーティリティールーム

フィルトレーションは、ユーティリティーと保管エリアから開始します。ここでは、お客様の設備が自治体または井戸の水を取り入れ、スチームを発生させ、圧縮空気と窒素を製造または貯蔵します。 プロセスに入る前に、各「ユーティリティー」にプレフィルトレーションを実施するよう計画します。 このプレフィルトレーションにより、下流に設置したファインフィルターの効率と寿命が向上します。

水のフィルタリングは、5ミクロンの液体エレメントを使用して、直径5ミクロンを超える粒子を除去し、定置滅菌(SIP)や定置洗浄(CIP)プロセスに使用する清浄な給水の許容水準を満たします。 (成分水は、プロセスの後半で追加の逆浸透またはマイクロフィルトレーションが必要になります)。

窒素を使用している場合、タンクを交換する際に開放ラインが気中浮遊汚染物質(ごみ、ダスト、微生物など)に暴露することがあります。 窒素ラインのプレフィルターもまた、窒素から不純物を完全に除去する予防策となります。

配合タンク

医薬品有効成分(API)が配合・保管されるエリアも、重点的にフィルトレーションを行う必要があります。 鋼製タンクは、人や大気によって持ち込まれた細菌の繁殖地となる可能性があります。

APIの周りに清浄な乾燥空気または窒素のブランケットを注入することをお勧めします。タンクが空または満杯になるにつれ、空気圧も補正されて一定値を保ちます。 この空気や窒素のブランケットはフィルター処理を行う必要があり、窒素または空気の注入装置に0.2ミクロンのフィルターを付けて、水分や不純物を除去します。 窒素は生物を宿すことはできませんが、配管内で拾った微細な粒子を運びます。

中間充填エリア

プロセスに新たな物質を入れる時は、常に不純物が発生します。 汚染場所として、最終製品を配合するために、コーティング剤や結合剤などの他の成分とAPIが混合される中間充填エリアなどがあります。

ここでは、原料、または原料が接触する表面と接触するスチーム、水、または圧縮空気のすべてのラインに、POUのファインミクロンフィルターを配置する必要があります。 水・液状化学品用途では1~0.2ミクロンのフィルターを使用し、高純度の空気には最大0.03ミクロンのフィルターが必要となります。

混合剤は、カプセル化またはボトリングの直前に別のセットのタンクに保管することがあります。 これらの貯蔵タンクには、別の窒素またはCDAバッファーのセットとPOUのフィルターを使用する必要があります。

包装

包装材は保管または輸送中に不純物を拾ってしまうことが多々あります。 医薬品無菌包装の場合、充填前に調理用グレードのスチームで液体容器を清掃することをお勧めします。 フォイルまたはプラスチック製のシール材にもスチームを吹き付け、フィルタリングされた圧縮空気で乾燥させることで、微生物が最終製品で増殖するのを防ぎます。 調理用グレードのスチームでは、サイズが2ミクロン以上の粒子を95%除去する必要があります。

冗長性のメリット

これらのステップは冗長に見えるかもしれませんが、空気、水、スチームを複数の段階でフィルタリングすることには、いくつかのメリットがあります。

  • プレフィルタリングは、下流に設置したより高価なエレメントの過負荷を防止することにつながり、コストを節約します。 
  • 中間フィルタリングは、プロセス自体で混入可能性のある金属片などの汚染物質を減らします。
  • 処理や包装の最終段階にあるファインミクロンフィルターによって、滅菌プロセスをさらに確実なものにします。 

つまり、冗長なフィルトレーションはリスクを最小限に抑え、低コストで純度の高い製品を生産することができるのです。

結論

製薬プロセスの設備にはそれぞれ異なる特徴があり、それぞれがフィルトレーションに関して独自の疑問を抱えています。 特定の場所における適切なミクロンサイズとフィルター効率は? エレメントが許容できるCIPとSIPの滅菌サイクルの回数は? 多数あるフィルターメディアの違いは?

大手のフィルトレーションメーカー、特にドナルドソンのような製薬プロセス経験のあるメーカーなら、こうした疑問にお答えできます。 ドナルドソンはお客様と協力して、最もコスト効率の高い方法で製品とプロセスを保護するフィルトレーション計画を策定するサポートをします。 

製品についてご不明な点は、 お問い合わせください

Richard Juskowiakは、ドナルドソンのプロセスフィルトレーショングループ製品サポートのスペシャリストです。 加工メーカーが求める技術ソリューションを特定し、エンジニアと協力して、条件の厳しい用途向けのソリューションを提供します。
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