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クーラント(切削水)加工:ヒュームやミストを効果的に捕集し、作業環境を改善

ドナルドソントリット、地区マネージャー、Nick Welter

ミストコレクションは金属加工業界で大気質を制御するための重要な手段です。 湿式加工では、環境、健康、安全上の理由から捕集の必要のあるミストの漏れや燻煙液が発生する場合があります。 燻煙液は湿式加工から発生する成分のうち捕捉が最も困難です。 本記事ではスモークとその捕集方法を検討します。

図1 ドナルドソントリットのWSO集塵機でスモークを捕集
スモークの定義

スモークは通常、キャンプファイヤー、火のついたタバコ、金属の溶融などから発生する黒い雲のようなものだと思われています。 湿式加工のスモークはタイプがまったく異なります。 ここでいうスモークとはスチームから液相に凝結する液滴と定義します。通常、0.7~1.0ミクロンのサイズで、熱的に生成されたミストまたは油煙です。

この燻煙液は、高圧下で液体を加熱または圧縮するプロセスで生成され、スチームになり、凝結して雲になります。 燻煙液は金属加工での用途 (冷間圧造、ストレートオイルを使用した硬質金属加工、大型発電機での潤滑油貯蔵庫の使用、熱処理、プラスチック加工)などで見られます。   

スモークを捕集

燻煙液を適切に捕集するには、スモークとミストの根本的な違いの理解が必要です。 ミストは一般に最大20ミクロンのサイズの液滴で構成されています。(人間の髪の毛の直径は約40ミクロンです)。 ミストは油性または水溶性の潤滑剤やクーラントから生成されます。デリバリーヘッドや機械加工の工程でクーラントに加えられる熱や圧力が高ければ高いほどミスト液滴は小さくなります。 クーラントに十分な熱や圧力が加わると、液滴が非常に小さくなり燻煙液が発生します。 0.7ミクロンの場合、燻煙液は平均的なミストの液滴のほぼ30分の1です。 ご想像のとおり、この超微細な液滴を捕集するには非常に効率的なミストコレクターが必要です。

燻煙液を容易に捕集できる一方、一般的には工程で発生するスモークの量を制限することが良い方法と言えます。 工程内のスモーク量を制限する第一の方法は、工程の冷却です。 前述のように、燻煙液は熱で生成されることが多いため、ミストコレクターより前の工程で冷却を行うと、スモークが凝縮して液体に戻る可能性があります。 制限は、工程内の風量に冷たい空気を引き込むことで実現できます。 集塵機より15フィート以上手前で、空気を少なくとも105°F以下に冷却することが推奨されます。 これはミストコレクターの後でスモークを凝結させないためで、凝縮されていないと、効率が低下する可能性があります。

ダクトのシステム内の通気速度が遅い場合も集塵機の手前でスモークを凝縮できます。毎分2500フィートの速度であれば、より確実に凝縮するための十分な時間を確保できます。 速度をそれ以下に下げると問題になる場合があります。速度を下げすぎるとミストがダクトに滞留してしまうためです。 ダクトにわずかな傾斜を設けるのが一般的な方法で、ミストの滞留を最小限にする効果があります。

上記のような対策を行っても集塵機からスモークが排出される場合は、最終的なフィルトレーションに注力することが最善の方法になります。 方法の決定には、通常排出されているスモークの量を考慮します。 生成されるスモークの量が多い場合は、多段階のミストコレクターが最適でしょう。 ただし、スモークの量が少ない場合は、プライマリーフィルターの後にアフターフィルターを設けるのが一般的な方法です。

アフターフィルター

湿式加工の用途では、一般的にHEPAフィルターまたは95% DOPフィルターの 2種類のアフターフィルターが使用されます。 HEPAフィルターは、定義上0.3ミクロンサイズの物質に対して99.97%の効率を実現します。 HEPAフィルターを使用する場合の欠点は、フィルトレーション捕集容量に限界があることです。 95% DOPフィルターはHEPAフィルターの5倍の寿命ですが、0.3ミクロンの物質に対する効率は95%に留まっています。 ほとんどの油煙は平均0.7ミクロンのため、通常は95% DOPフィルターが使用できます。 0.7ミクロンの場合、95% DOPフィルターは98~99%の効率があります。 この水準の効率であれば、ミストコレクターからの大気質は国、州、地方の基準を満たせるでしょう。 最後に、95% DOPフィルターはHEPAフィルターより長寿命ですが、コストはほぼ同じです。 この特性は95% DOPフィルターの明確な利点を示すもので、何年にもわたって95%DOPフィルターが支持されてきた理由です。

湿式加工で大量のスモークが発生する場合は、アフターフィルターの手前でスモークを効果的に捕集し除去することが、経済的な運用には最良の方法です。 アフターフィルターの手前でスモークを捕集するには、業界で一般的なミスト捕集装置の効率を理解する必要があります。

ミストコレクター

ミスト捕集装置の一般的な形式は遠心式のミストコレクターです。 遠心式のミストコレクターは一般的に小さく、比較的安価でフィルター交換も最小限で済みます。 遠心ミストコレクターの多くは、アフターフィルターの取付が可能です。 典型的な遠心式の集塵機は、1ミクロンの物質に対して約98%の効率を実現します。 物質のサイズが小さくなると、この効率は低下します。 油煙のサイズは平均0.7ミクロンのため、遠心式集塵機の効率では基準を満たせない場合があり、アフターフィルターが必要と考えられます。 遠心式集塵機のもう1つの欠点は風量に限界があることです。 一般的な遠心式集塵機の風量は500立法フィート以下です。

バリアフィルターはミストフィルトレーションのもう1つの一般的なタイプです。(図1) バリアフィルター集塵機には、高濃度の大きなミスト用にアルミメッシュスクリーンが備えられており、その後に一連のポリエステルベースのパネルまたはカートリッジが装着されています。 大量のスモークを生成する工程の場合、遠心式の集塵機と比べて、バリアフィルターはフィルトレーションも風量も強力です。 たとえば、クロスフロー式のファイバーフィルターでは、汚染空気がフィルターの壁を通して水平に流入し、捕集されたミストはフィルターから排出されます。 この方法は、1.2ミクロンの物質で99.3%のフィルトレーション効率を実現し、4インチあたり最大1000立法フィートの外部静圧による風量が可能です。 これだけの性能を遠心式の集塵機で達成するのは難しく、費用もかかります。 この集塵機の設計では、フィルターの寿命が延び、メンテナンス費用も削減できます。

要約すると、燻煙液の捕集は非常に困難です。 しかし、スモークが生成されるプロセスを理解すれば、フィルトレーションソリューションを実現できます。 適切なダクト速度を維持し、ダクトを傾斜させ、ダクト内の温度を下げることで、燻煙液のフィルトレーションの問題を簡素化できます。 そして最後に、この困難な課題に対応するにはアフターフィルターの検討が必要です。  

湿式加工に適したフィルトレーション装置を選択することで、システムの運用コストを低く抑えつつ、問題のある物質を空中気から排出できます。

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