フィルターの湿式クリーニングに価値がない理由

ドナルドソントリット、アフターマーケットプロダクトマネージャー、Debbie Olson

プレミアムカートリッジフィルターの湿式クリーニングまたは乾式クリーニングにかかる費用は一見安上がりですが、本当にそうでしょうか？確認してみましょう。

フィルターのクリーニング費用は、新しいフィルターの購入費用よりもかなり安く済みますが、クリーニングによってフィルターの寿命が短くなり効率も低下することを考えると、購入した場合との差額分はすぐに相殺されてしまいます。通常、クリーニング後のフィルターは、再度目詰まりするまでの期間が新しいフィルターの約半分に短縮されます。結果として、クリーニング後のフィルターは交換頻度が高くなり、ダウンタイムも増大し、クリーニング費用も増えていきます。

下の走査型電子顕微鏡（SEM）画像（図1参照）は新品の高効率メディアと、湿式クリーニングまたは乾式クリーニング後のメディアとの違いを示しています。

図1 - 新しく清潔なフィルターメディア、湿式クリーニング後、乾式クリーニング後のフィルターメディアのSEM画像の比較。

ご覧のように、クリーニング後のフィルターメディアには粒子がこびりついています。新品のフィルターメディアとクリーニング後のフィルターメディアを比較した独立ラボ試験*から、次のことが明らかになりました。

クリーニングはフィルターメディアの強度を低下させ、結果として引張強度が低下し、寿命が短くなり、構造的な破損が発生する可能性があります。
クリーニングはメディアの細孔を損傷させるため、デプス捕集が増え、フィルターの寿命を縮めることがあります。
クリーニングにより、ファインファイバーの表面層が劣化し、サブミクロンレベルでの効率が低下します。0.8ミクロンで最大18%の低下になります。
クリーニングではフィルター能力（ダスト捕集容量）が部分的にしか回復せず、その割合は約52.8%に留まります。テストしたフィルターエレメントでは、フィルターの寿命の半分以上がすでに失われています。
湿式クリーニングによって、フィルターの難燃加工が失われる場合もあります。
強力なクリーニングを行うと、弱い箇所ができたりメディアに穴があいたりすることもあります。

この計算では、使い捨ての安全器具、サービス担当者の移動時間、クリーニング後のフィルターを使用する場合に2倍になるダウンタイムのコストは考慮していません）。

年間で見ると、この平均的なシナリオは、クリーニングしたフィルターを使用する方が新しいフィルターを使用するよりも実際にかかるコストが大きいことを示しています。集塵システムの完全性を損なうために、より多くの費用をかける必要があるでしょうか？

また、フィルターのクリーニングに関して次の点にも注意してください。

フィルターをクリーニングに出してから戻ってくるまでに2～3週間かかることがあります。
フィルターをクリーニングに出している間に使用する、フィルターとパッケージのスペアセットを用意しておく必要があります。
クリーニングのためにはフィルターの発送や取り扱いが必要で、輸送中にフィルターが破損する可能性もあります。経験値で10～15%
フィルターのクリーニング中にフィルターの交差汚染が発生する可能性もあります。
別の顧客が業務で使用し、異なる粒子で汚染されたクリーニング済みのフィルターが返却される可能性もあります。
クリーニング中にフィルターの汚染側から清浄側に汚染物質が移動する可能性もあります。このため、再設置後に汚染物質が工場環境に持ち込まれる可能性もあります。
乾式クリーニングの会社は、破損またはクリーニングできないフィルターを新しい標準グレードのフィルターと交換する権利がありますが、費用は顧客負担となり、おそらく、高効率のフィルターは低効率の製品に置き換えられてしまいます。
集塵機に「クリーニング済み」フィルターと新品のフィルターを混ぜて使用すると、全体的な捕集や効率に悪影響を及ぼします。

肉眼で見るとこのようになっています。